住まいるコラム

2020-02-01
暮らし発見!!住まいるコラム

住まいや暮らしに関わる専門家がテーマに沿って語るコーナーです。
今回は、広島市佐伯区の「エルイーオー設計室」で活躍する建築家の中川郁孝さんが、光熱費を抑えながら冬を暖かく過ごせる住まいを紹介します。

省エネで暖かい家 高効率な床下エアコン

 暖かい家を造るには、断熱材の継ぎ目、外気につながる柱と床の隙間、配管の隙間などをふさぎ、空気を逃がしにくくするのが基本です。断熱材を床や壁、天井に適切に施し、気密性を高めることも重要です。樹脂サッシ、複層ガラスなどの断熱窓を使うとさらに効果的。近年は床暖房を使う家も増えてきました。

 新築住宅の場合、よく提案するのは、1階床下に市販のエアコンを設置し、床下から家全体を暖める方式です。具体的には基礎を工夫。通常の基礎は板状のコンクリートで仕切られていますが、この方式では、エアコンの暖気が床下全体に行き渡るよう、円柱形のコンクリートで支えます。基礎の底面や外周部、内周部には断熱材を敷き詰めているため、熱は外に逃げません。1階床下の複数箇所に給気口を設置し、床下からの暖気を屋内に送り込みます。エアコンは1台で十分。光熱費もあまりかかりません。エアコンは壊れたら買い替えるだけなので、メンテナンス費用は少なくて済みます。床暖房と同等の効果があり、ランニングコストが安い点もメリットです。

 この方式を採用した三次市の木造平屋(一部2階建て)は、玄関の下足箱の床下にエアコンを設置。1階の床に設けた計6カ所の給気口を介し、27畳のLDKと6畳の洋室2室をはじめとした1階の全室を暖めます。LDKの天井高は3.5メートルと高いものの、エアコン使用開始から5時間後に室温を測定したところ、床は23.8度、天井は20.6度と差はあまりありませんでした。

 広島市佐伯区の木造2階建ては、1階の2カ所に給気口、1カ所に空気をかくはんする通気ファンを、2階床の2カ所に通気ファンを設けて、床下の暖気が1、2階を暖める構造に。前夜に暖房をつけると翌朝には1階床は30度、2階床は25度で安定していました。

円柱の基礎を使い、床下を空洞化し、全体に暖気が行き渡るよう工夫。

〈広島市佐伯区の事例〉

床下エアコンで暖められた空気は、通気ファンを通して2階の吹き抜けリビングへ到達。

通気ファン

〈三次市の事例〉

1階リビング。窓際の床に給気口を設置。全ての窓に断熱性の高い三層真空ガラスを採用し、床下エアコンの効果を高める。

玄関近くの下足箱の床下に市販のエアコンを設置。操作はリビングの壁に取り付けた操作パネルで行う。

担当者写真

中川 郁孝さん