住まいるコラム

2019-10-05
暮らし発見!!住まいるコラム

住まいや暮らしに関わる専門家がテーマに沿って語るコーナーです。
今回は、広島市南区に「TOM建築設計事務所」を構える建築家の古家智之さんが「古民家再生」の特色や魅力を紹介します。

古民家再生 建築特性生かして快適に

 古民家は主に戦前、くぎなどを使わない日本の伝統的な建築工法で建てられた木造住宅を指します。

 屋根が大きくどっしりとした造りで、雨や風に強いのが特徴。軒が深いため、高い位置から照り付ける夏の日光を避け、低い位置から差し込む冬の暖かな日差しを取り込める良さがあります。加えて、梁や柱、床には天然木、壁には土などの自然素材を使っているため、吸湿性にも優れ、快適です。

 こうした古民家の魅力が見直され、移築やリフォームをして暮らしたいというニーズが約20年前から高まりました。日本家屋の伝統を生かしながら、現代住宅のモダンさや意匠をどう加えるか、そこに設計の醍醐味を感じています。

 安芸高田市の築100年以上の平屋建て古民家は、北側の2部屋をガラス張りのLDKとし、約8畳のぬれ縁を段差なくつなげました。屋根や柱はそのまま残し、LDKの天井板を取り外して、マツの太い梁を露出させることで、開放感を演出しました。

 広島県北広島町にある築約80年の古民家は、数十年前に棟の北側に部屋を増築したため薄暗く、圧迫感がありました。そこで増築した部屋を取り除き、ガラス張りのいろり付き居間にリフォーム。4.5畳にもかかわらず、窓からは緑の田園風景が広がるため、面積以上のゆとりを感じられます。居間の前には縁側も設けました。

 広島市安佐南区の築80年の木造2階建ては、1階の南面と東面に軒の深い屋根を足したのが改装のポイントです。雨や直射日光をしのぎ、ベンチを置いて家族や近所の人とちょっとしたコミュニケーションを楽しめるスペースとしても利用できます。

安芸高田市の事例。LDKの北側に大開口を設け、テラスのようなぬれ縁と一体化。LDKには天窓を付け、採光性もアップ。

安佐南区の事例。1階部分に屋根を増築。軒は1.2メートルと深く、暮らし心地もアップ。

北広島町の事例。田園風景を取り込み、居間の開放感を高める。土間の建具はそのまま生かし、壁を塗り替えた。

担当者写真

古家 智之さん